オレが足つきに拘禁されてから既に半月以上が過ぎていた・・・・。
食事を運んでくるヤツの話では、ここはアラスカ。地球軍本部だということだが、オレが連行される様子は一向にない。
本来なら、捕虜の交換交渉に入ってもおかしくないのに、一体どうなっているんだか・・・。
それを除けばここの待遇は悪くない。三度の食事はきちんともらえるし、週2回はシャワーも浴びれる。
(後から聞いた話だがここ、足つきが特別で、他の施設ではもっと凄惨だったらしい)
(・・・痛・・・っ・・・)
額に受けた傷はまだ痛む。もう治っていても良い筈だが塞がりかけては何故か開く。
痛む度にあの出来事を思い出してしまう。
(ビンゴだったとはな・・・)
オレにナイフを向けた女の彼氏は・・・オレが投降する直前にMIAになったのだと聞かされた。
心臓が鷲掴みにされたような・・・そんな気がした。
ニコルの死を思い出す。ナチュラルはニコルの仇だ。
けれど・・・あの女の恋人の仇は俺達コーディネイターなのだ・・・。
そんなこと考えた事など無かった。自分が誰かの仇になるなんて!
なのに・・・あの女は何故俺を助けたのだろうか?
一度は俺を殺そうとしたのに。
横に居た赤毛の女が俺に銃を向けた時、身を挺して庇ってくれた。
赤毛の女は言った。
「コーディネイターなんて・・・ミンナ死んじゃえばいいのよっ!」
俺には・・・その言葉に反応して飛び出して来たように見えた。
鉄格子の向こうで音が聞こえた。
反射的に飛び起きると・・・・そこにいたのはあの・・・蒼い瞳の女だった。
急いで立ち去ろうとする女に向かって叫ぶ!
「待てよ・・・!!」
行ってしまうかと思ったが、女は足を止めてゆっくりと振り返る。
「ん・・・と・・・その・・・」
「お前の彼氏どこで・・・その・・・」
それから先は聞くに聞けなかったが言いたい事は解ってくれた様で、消え入りそうな声で答えてくれた。
だからといって、安堵することができない。自分は彼女の恋人の仇に連なる立場なのだ。
「どうしたんだよ・・・殺しに来たんなら殺ればいいだろ・・・」
そうとしか言えなかった
女は、黙って俺を見つめていたが、何か言いたげに口を動かしかけて・・・立ち去った
何が言いたかったのかは解らない。けれど、俺を心配して来てくれたようなそんな気がしてならなかった。
(また・・・ここへ来てくれるだろうか・・・)
ってオレ何を考えているんだよ〜・・・!
けれど・・・・また来て欲しい。あの蒼い瞳が見たい。
心から願った・・・。
またここへ来て欲しいと・・・。
(2004・10・30) Qoo3
監獄ノスタルジア(3.5)