なんてことだろう!私達はこともあろうに味方である筈の地球軍に殺されそうになったのだ!
AAはアラスカ守備軍配属となり、ザフトの攻撃を受けた。
具体的な作戦指示もないままに満身創痍で迎え撃つ。援護の姿は確認できない。
そこへ退艦移動になったフラガ少佐が飛び込んできて。
「早くここから撤退するんだ!この基地にはサイクロプロスが仕掛けてある!
10キロは離れないと巻き添えをくうぞ!」
───私達AAのクルーはザフトを引き寄せる為の囮だった・・・。
邪魔なものは纏めて片付ければよい。AAが厳しい査問を受けていたとの噂を思い出す。
助かる確率なんて殆ど無かった。もうだめかと思った時。
「こちら、キラ・ヤマト・・・AA聞こえますか・・・!」
キラが来てくれなかったらすべてが終っていた。
食事よ・・・。
ザフトの捕虜に食事を運ぶ。あの騒ぎのあと、すっかり忘れられていたのだ。
丸1日何も食べていない筈。いくら何でも気の毒というものだ。
軽く詫びて差し入れる。捕虜は以外な顔つきで私を見ている。
そういえば・・・捕虜の顔なんて、まじまじと見たことなどなかったけれど・・・。
目の前のこの男は私達と同じ位の年頃だろう。
羽の様にけぶる金髪。艶のある小麦色の肌。細くしなやかな手足・・・。
見事なまでに整った顔立ち、そして綺麗な紫の瞳・・・。
キラの柔らかい紫とも、バジルール中尉の強い紫とも違う淡いラベンダーの色。
私も中立国オーブに居たのだ。何人ものコーディネイターを見てきたが、
目の前の男程綺麗な男にお目に掛かったことはない。
───少し見惚れてしまった。
男が自分を見つめていることに気付く。
「何よ・・・!」
これは照れ隠し。見つめられていたのが恥ずかしくなる。
「まさか・・・おまえが持って来るとは思わなかったからさぁ・・・」
随分なれなれしいヤツだ。おまえ呼ばわりされて私はムッとしてしまった。
「おまえ〜!?」
「スミマセン・・・あ・な・た・サ・マ!」
「ミリアリアよ。アンタじゃないんでしょう?」
「へえぇ〜!名前で呼んでイイのかよォ?」
絶対「イ・ヤ!」
「ところでここはどこなんだよ!オレはいつここから出られるんだよ〜っ!」
「オーブよ。でも私達だって出られないんだもんアンタなんて知らないわよ!」
「はああああ〜?何言ってんだお前。意味わかんね〜よ」
「わかんなくたって別にいいわよ!」
私はそう言って思い切り壁を蹴飛ばした!
(・・・痛い・・・)
勢い余って自分の足にダメージを受けてしまった。じんじんと痛む。
「くっくっくっ」
その様子を見ていたコイツは声を殺して笑い出した。
「もう行くから!」
とんでもない醜態を見せてしまった。
「はいはい〜気を付けて?ア・ナ・タ・サ・マ!今度はぶつけないでね〜」
「うるさいわよ!」
なんて癇に障る奴なんだコイツ!
「・・・あ、オレね、ディアッカ=エルスマン〜ての!ヨロシクね〜!」
「ええい!黙れ!」
思い切り睨みつけてやる。
「また来てね〜ア・ナ・タ・サ・マ〜!」
「ミリアリアよっ!」
こんなところもう1秒たりともいたくないわ!
ああ綺麗なオトコだなんて思うんじゃなかった!
可哀そうそうだなんて心配してやるんじゃなかった!
今度食事に下剤でもぶちこんでやるから!
ああ・・・!アイツのバカ笑いが聞こえる。
ディアッカなんて変な名前絶対呼んでなんかやるもんか・・・!
監獄ノスタルジア (4)
───食事よ・・・。