───トールがいないのに・・・なんでこんなヤツがいるのよ・・・!
監獄ノスタルジア(3)
───俺は拘禁室の独房へと移送された。
天井を見上げ、ひとり思う。
なぜ・・・あの女は俺を庇ったのだろう。
答えなど解らないのに、すべてそこへ行き着いてしまう。
それにしても自分は酷いことを言った。
「あ〜あ!それともバカで役立たずなナチュラルの彼氏でも死んだかぁ〜!」
気が付いた時には女にナイフを振り下ろされていた。
まさか・・・ビンゴだったとは思わなかった。
コーディネイターに恋人を殺された女。
自分はあの女の恋人の仇なのだ。
大切な人を想う気持ちはコーディネイターもナチュラルも同じなのだ。
こんな事すら自分は気付きもしなかったのだ。
なのに・・・その直後、別の女に銃口を向けられた俺を。
死んだ恋人の仇である俺を庇って助けたのだ・・・あの女は。
「・・・違う・・・私・・・・・・違う!」
あの時・・・女は必死で何かを訴えていた。
蒼い瞳から流れ落ちる涙が何故かとても神聖なものに感じた。
もう一度あの女に会いたい。
言葉を聞きたい。
そして教えて欲しい・・・。
なぜ・・・俺を庇ったのか教えて欲しい.。
「違う・・・!」と叫んだその言葉の意味を。
訳を聞きたい。
おまえの口から。
教えて欲しい。
───心からそう思った。