戦艦エターナルのラクスさんから、
日用品が使い切れない程あるので、AAやクサナギにもお分けしたいというとてもありがたい申し出があった。
ちょうどエターナルに用事のあったディアッカが乗せてってくれるというので、私は一緒に連れて行ってもらうことにした。
花のトワレ
「あのドサマギに一体何を積んで来たんだろうなぁ〜」
「ホントよね・・・使い切れない程ってどれくらいかしら?」
「ま、キラにも会えるんだろ?楽しんでこいよ・・・」
「・・・うん。じゃ、帰りもよろしくお願いするわね」
「ミリアリアのお願いならキスでも抱っこでもしちゃうケド〜♪」
「とっとと用事に行きなさい・・・・・・!」 ほんとバカは困る。
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「ミリアリアさん!よく来て下さいましたわ。早速なのですが・・・・」
───と言って案内されたスペースには
(うそ!なにこれ・・・・)
というぐらい、山積みになった日用品。
(これじゃぁ確かに使い切れないわ・・・)
ゆうにMS一機分はありそうだ。
「AAの皆さんの分はもうコンテナに積んでありますから、お持ちくださいね」
ラクスさんが指さしたのは遥か向こうにある、別にしてあったひと山だ。
「それと・・・こちらのスペースの物は女性用ですので、お好きなだけ差し上げますわ」
と、MS一機分の日用品を見上げる。
「こ、これ全部女性用なんですか!?」
MS一機分が女性用とは・・・凄すぎる!
「こちらが、とりあえずお分けした1人分になりますの。ミリアリアさんとラミアス艦長の分ですわ。
消耗品は人数で均等に分けましたの。あとは嗜好品になりますのよ・・・」
1人分と言ってラクスさんが示した物は1m四方の箱がふたつ。
中には部屋着、生理用品の他に肌着のショーツやブラジャーまでが揃っていた。
しかもプラント最高級品で、ガラスケースの中でしか見たことが無い綺麗なクチュールレースのものだ。
サイズもピッタリ・・・・・え・・・サイズ?
「あの・・・ラクスさんこのブラのサイズって・・・その・・・どうして・・・」
「ああ、ディアッカが教えて下さいましたのよ・・・彼の所には、先に連絡しましたので、その時に」
(なんでブラのサイズなんか知ってるのよっ!あのバカ!)
(あらあら・・・・)
怒りで真っ赤になったミリアリアを見てラクスは微笑む。
(あ・・・そうだ・・・)
「あの・・・ディアッカっていえば、アイツは捕虜だったから実は何も持ってないんです。何かありませんか?プラントのものだったらきっと何でも喜ぶから」
彼が持っているのはすべてAAからの支給品で、もちろんたいした物などない。
「ああ、それでしたら大丈夫ですわ。ディアッカの趣味や好みはアスランとキラがよく解ってまして、彼の為にすでに一箱用意してありますわ」
そう言ってラクスさんは傍らのひと箱を指した。ラクスさんがディアッカを気にかけてくれたのが、私はちょっと嬉しかった。
「そうですか・・・!ありがとうございます」
素直にお礼を言うとラクスはまたも微笑んで。
「それでは、こちらも見て下さいね。名前の付いた箱に好きなだけ詰めていいですわ。申し訳ないのですが、私はブリッジに戻らないといけませんので、またあとでお会いしましょう」
そう言ってラクスさんはブリッジへと戻って行った。
───軍人になっても自分は年頃の女の子だ。
綺麗な飾りや服に小物など、喉から手が出るほど欲しい物だ。
ひとりになってガサガサゴソゴソ物色し始める。
( あ〜これいいなあ〜・・・これも可愛い!)
自分の物とラミアス艦長に合いそうな物をあれこれ箱に詰めていく。
割り当てられた箱は大きいので、なかなかいっぱいにならない。
───ふと、傍らにある包みに目を向けた。
( これ・・・ ユニウスのベルナデット社の・・・)
それはプラントのユニウス市で作られているボディケアセットだった。
ヘリオポリスに住んでいた頃、若い女性向けの雑誌に掲載されて、密かに憧れたものだ。
バブルバス入浴剤にソープ、シャンプー、コンディショナー、パウダー、ボディローションにクリーム・・・トワレまでトータルに販売されているもので、揃えると10万アードはするという高級品。
10種類の花の香りの物が販売されているが、どれも品薄でなかなか手に入らないのだ。
やがて、戦争が始まって見る事すら出来なくなってしまっていた幻のものだ。。
(全10種類揃っている。100万アード分!どうしてこんなにたくさんあるの?)
(ラクスさんは好きなだけ持って行っていいって言ってたわよね・・・)
(もらっちゃおう!) 私は幸せな気分で胸がいっぱいになった。