花のトワレ
ディアッカはすごぶる上機嫌であった。
エターナルから分けてもらったものはどれもこれも自分好みで、アスランとキラには感謝ものだ。
特にアンダーウェアにはうるさい彼は、シャワーのあとにそれに着替えてくつろいでいた。
───PON・・・♪
不意にドアホンが鳴った。
・・・・・って今頃誰だ?時刻は既に夜も1時を回っている。
「どうぞ〜開いてるから・・・」 フラガのおっさんでも来たんだろうと思っていたが・・・
───パシュウ・・・・・と、入って来たのは・・・・・。
「お願い!ディアッカ!お風呂使わせて!」
真剣な眼差しで迫ってくるのは・・・なんとミリアリアではないか・・・!
「ミリアリア!おまっ・・・!今何時だか解ってんのかよ!いったいどうしたんだよ!」
「だから、お風呂使わせてって言ってるじゃない!」
「ミリアリアさん・・・話が全っ然見えません!」 お風呂ってなんな訳よ?
「今日エターナルで貰ったバブルバスに入りたいの!沈丁花の花のやつ!だけどバスタブあるのって士官部屋だけじゃない!艦長室はムウさんが来てるしノイマンさんやチャンドラさんにはお願い出来ないでしょ?だからお願いお風呂使わせて!」
ミリアリアは息も吐かずに一気に捲くし立てた。ぜーぜーと肩で息をしている。
「とにかく借りるから!覗かないでよ!」
バタンという音とともに、ミリアリアはドアの向こうに消えた。
(は〜・・・)
ディアッカは大きく溜息をつく。お風呂に入りたいが為とはいえ
夜も1時過ぎの
男の部屋に
それもひとりで
偲んで来る───
ホント訳わかんね〜よな。昼間はあんなにツンツンしているのにさぁ・・・。
まあとりあえず風呂上がりの飲み物でも用意しておきますか。
「ああ〜もう最高だったぁ〜!」
と、幸せ顔で風呂から上がって来たミリアリア。
彼女のこんな顔は見たことがなかったから、ちょっとウレしい。
それに、沈丁花の香りもいいものだし、風呂上がりの彼女は色っぽいし・・・。
「ごめんねディアッカ。でもどうしても使いたかったの!ずっと欲しかったのコレ!」
「はいはい・・・じゃ、これでも飲んで一息ついて」
ディアッカは口元だけでクククと笑った。
「ありがと!ん、おいしい!」
「それ飲んだら早く戻れよ。もう真夜中なんだからな」
と、釘をさすディアッカに。
「うん大丈夫。もう帰るから・・・あ〜もう眠くなっちゃった・・・」
と、伸びをするミリアリア。
目を閉じると急激に眠気が生じてくる。ホント早く部屋に帰ろう・・・。瞼が重い。
(気持ちいい・・・)
うとうとし始めるミリアリア。
「大丈夫よすぐ帰るからあ・・・・・・・」
と、半分寝ぼけているミリアリアの様子に。
「・・・・・・おい!ちょっと待てこんな所で寝るんじゃない!おいミリアリア!って・・・コラ!待て!寝るなよ!おいミリアリア!」
ディアッカの声がうつろに響く。
───寝ちまった・・・
疲れているのは解っている。
(しょ〜がねぇなあもう〜・・・)
ディアッカはそっと起こさないようにミリアリアをベッドに運んだ。あどけない寝顔に、
(かわいいね・・・)
ディアッカはミリアリアの頬にキスひとつ。
───朝・・・ミリアリアは目を覚ます。
何か温かいものに包まれている様で気持ちがいい・・・。
「・・・ん・・・」
「起きたのミリアリア・・・?」
耳元で甘い艶のある声がする・・・。
「ここ・・・どこ・・・?」
ミリアリアはゆっくりと目を開けた。
「ここはオレの腕のナカよ?わかる?」
「・・・え!」
目の前にあるのはそれはそれは綺麗なオトコの顔で・・・。
「ディ!ディアッカ!?」
ミリアリアは慌てふためいて飛び起きる。
「おはようミリアリア♪よく眠れた?」
そう言うディアッカの胸は裸で、洗いっぱなしの金髪は額に降りて巻き毛になっている。
「なっなんでディアッカと一緒に寝てるの!」
パニツクになったミリアリアは、それでも自分がちゃんと服を着ていることを確かめると、
「お・・・お邪魔しました!」
・・・と、慌てて部屋から飛び出していった。
(・・・残念。可愛かったのに)
クククと悪戯っぽく笑い、ディアッカは悠然と着替え、外に出た。
───食堂ではウワサが飛び交っている。
ディアッカとハウ・・・同じニオイしてるよな・・・
あれってバブルバスか・・・入浴剤の匂いだよな・・・
・・・て・・・あの2人もしかして・・・昨日・・・
なんだよ一緒に風呂に入ったのか!
やるう〜ディアッカ!マジかよ!
とうとうディアッカがハウを落としたってよ!
そんなウワサがAA中を駆け巡るまで、たいした時間はかからなかった・・・。
(2004・11・16) 空
※このあとミリアリアは必死に誤解を解いてまわるが、
ディアッカは 「さあね〜・・・」っと言うばかりだったとか・・・。
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