彼女にスキだと告げたからって舞い上がるワケにはいかないじゃん?








FLY HIGH     『 D 』







「それにしても・・・オマエさんあれからお嬢ちゃんとは進展はあったのかい?」
格納庫の片隅でムウはディアッカにそっと尋ねた。
「そんなにうまくいくワケねぇっつ〜の!男に襲われたんだぜ?いくらなんでもそれと同じコトやったら鬼畜だろ?」
「ホントかよ・・・」と、ムウは疑いの眼差しをディアッカに向けた。

ミリアリアが襲われた事件は未遂に終わり、ドサクサに紛れてちゃっかり彼女に告白できたのはいいが、
世の中そんなに甘くはない。
ディアッカの部屋で寝込んでいたミリアリアも元気になって、3日目にはCICに復帰した。
3日も同じ部屋にいたのだから、『デキちゃった』と思われても不思議はないが、真相はというと驚いたことに、
『事実は小説よりも奇なり』を地でいく展開らしいと、専らの評判。





───お〜いエルスマン!


今日もあちこちでお声がかかる。

「あ〜っ?何?なんか用?」
「お嬢ちゃんとはウマくヤッタのか?」
「そんなワケねぇっつ〜の!いいかげんにしてくれよ・・・」
心底面倒臭そうにディアッカは答える。
「3日も一緒に過ごしたんだろ・・・?フツーは何かあるんじゃね〜の?」
「おっさんらが期待してる様なコトはなんにもないって・・・何回言えば解るんだよ!」
と、まあ格納庫ではこんな調子だし・・・。

食堂へ行けば行ったで・・・。

「なんだい・・・今日はハウと一緒じゃないのかい?」
「あいつはブリッジにいるよ!きっとこれから昼飯だろ?」
「傍にいないと寂しいよなあ・・・ずっと一緒にいたんだろう?で、どうだった?」
「ど〜もこ〜もありません!もう勘弁してくれよ!」
「本当かぁ〜」
「もう・・・何を期待してるのさ」
と、興味津々で聞かれるし・・・。

そして・・・通路では・・・。

「ねえ、ディアッカ・・・」

(この声はサイだな・・・あ〜オマエもかよ・・・)

「だぁかぁらぁ〜!オレとミリアリアはナニもシテないってば!しつこいぞ!ほんと!
一緒のベッドで寝ただけで胸もさわってなければ、抱いて寝たわけでもないんだって!
そりゃ〜さあ、さわりたいな〜とか、抱っこしたいな〜とか、キスもフレンチじゃなくて
ディープのほうがいいな〜とか、寝てる間にこっそり着替えさせちゃおうかな〜とか・・・
思ったけどぉ、点滴の針が邪魔だし、薬のせいで眠りっぱなしだし・・・それじゃつまんね〜だろ?」」
ディアッカはもう面倒で、片っ端から思いつくまま、口にしたのだけれど・・・。







「アンタ最低・・・それが本音ってわけね・・・」






「え・・・・・」






振り返ると・・・そこにいたのはサイと一緒のミリアリア・・・。






「げ・・・・・・・」






「アンタ・・・半径5メートルはあたしに近寄るんじゃないわよ・・・」







「ちょ・・・ちょっと待ってミリアリア・・・」
「ストップ!そこまでよ!」
「今のは言葉のアヤでさあ〜」
「ふ〜ん・・・アンタそこまでテキト〜なんだ・・・」
「誤解だってばさあ〜・・・ね?機嫌直してってば?ね、ね、ミリアリア・・・」
「イ・ヤ!」

スタスタと足早に去ってゆくミリアリアに、それをしょんぼりと見送るディアッカを見てサイは。

(全然進展してないよなあ・・・あれじゃあさあ・・・)

と、苦笑いしてその場を過ぎた。








───AAのあちこちで今日も噂が飛び交っている。







「あの様子じゃ全然進展してないよな・・・」
「本当。進展してるって思うほうが無理ってもんさ!」
「エルスマンも気の毒になあ・・・いいように振り回されてるんじゃないの?」
「いいじゃないか・・・健全でさ・・・」






───以前の様な卑猥な噂は無くなったけれど・・・。







「ディアッカって・・・女の尻に敷かれるタイプだったんだ・・・」







って、ちょっとカナシイウワサが飛び交っているのを本人は知る由も無く・・・。













 (2005・6・17  原稿紛失のためもう一度書き直し) 空

  ※ そう簡単に先には進ませないですよ・・・(笑)

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