THE IN CLOUD





夢中でバスターを機動させていた。
オーブ軍と共に地球軍と戦う・・・でも何の為に?

ザフトに戻ることもできた。
捕虜となり拘束されていた事実などいくらでも捏造が可能なのだから。
なのに・・・AAを援護する自分がここにいる。

───AAを護る・・・?でもいったい何の為に?












「アンタ・・・・・・なんでザフトに戻らなかったのよ!」

戦いの後、バスターでAAに帰艦したオレにミリアリアはそう言った。

「なんでって言われても・・・さあ〜オレにも良くわかんね〜んだけど・・・・」

「あのまま戻っていれば大切なひと達に再会できたのよ・・・アンタバカじゃないの?」

優秀なコーディネイターのこのオレをバカ呼ばわりするなんざ、いい度胸してるよな。
だが実際、なんでAAに舞い戻って来たのかなんて自分でもハッキリ解からない。
まあ、ナチュラルだからといって、こいつらを殺すのは何か違うと思ったまで・・・だとは思う。



今、AAとオーブ艦クサナギは地上を離れ、雲の中を突き進んでいる。

どこに向かって進んでいる?雲の中は何も見えないのに。

では───雲の中から抜け出した時、オレが見るものは何なのだろうか。




戻りたいのは・・・AAそれともザフト?

護りたいのは・・・AAそれとも・・・・・?





雲の中は何も見えない。




けれど───雲の中でオレは思う。




今・・・オレはここにいる。

雲をぬけても、宇宙に出てもきっとオレはここにいる。

いつかオレにも解かるのだろう。

戻りたいところも。

護りたいものも。






きっと・・・いつかオレにも本当に解る日が来るのだろう。













    (2004・11・10)    空

※ 雲の中にいるのはほんの一瞬ですが
   それが長く感じるか短かく思えるかはその人次第ではないでしょうか。



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