ねぇ・・・ミリアリアちゃん。赤い糸の伝説って知ってる?

不意にディアッカにそう訊ねられたミリアリアは思わず目の前のアクリルガラスを凝視した。
ミリアリアを後ろ抱きにしたままでなお変わらないディアッカの表情がそこに映る。

「オレはね、運命の恋だとか赤い糸の伝説なんてそんなことは信じてないよ。だってそんなのおかしいじゃない?自分の知らないところで相手が決まっている恋なんてさ。正直運命って言葉ですらオレは嫌だね」

「・・・・・・」

「だからね?ただ運命に従うような恋はしたくないの」

独り言のように淡々と話すディアッカの表情には少しも乱れた所がない。

「っていうかさ、恋って感情すらどういうものか解らなかったんだよオレ。ミリアリアちゃんさっきオレに聞いたでしょ?相手を見境無く取り替えるなんて感心しないって。それでオレは寂しくないのかって。じゃぁちょっと聞くけれどミリアリアちゃんはどうだったの?」

「・・・え?」

「トールに去られてひとりこうして残されてさ、それでも運命の恋だと思ってた時期がミリアリアちゃんにもあったんでしょう?だもの寂しくはないの?」

「それは・・・」

「だから運命なんてオレは信じちゃいないんだよ。そんなものに縋りついて捨てられるくらいならオレは・・・」






「運命ってやつを自分で作ってみようって・・・そう思ったのさ」






Red piano wire 5







ディアッカは何を言っているのか。
運命を自分で作るとはどういうことなのか。どうしてディアッカはミリアリアを抱いたまま離さないのか。
ディアッカはミリアリアを囚人と言った。そして自らを看守と告げた。
すっかり混乱してしまった今のミリアリアにはまだこの状況が把握できない。

「オレさぁ・・・ずっとあんたのことを見てたんだよ。朝も昼も夜も、そう真夜中もね。自分を抑えられなくてさ?一晩中あんたの部屋を眺めて過ごした日もあるしね」

クククと頬を吊り上げて笑う表情は、他の人間のものならばこの上も無く醜悪だろう。だが、そんな表情ですらディアッカは妖しくそして美しい。

「いつオレの存在に気が付いてくれるのかワクワクして待ってたんだけどさ?ミリアリアちゃんはオレの気配には気付いても正体までは判らなかったみたいだよね」

ミリアリアの肩に顎を乗せたままでディアッカは静かに瞳を閉じた。だが、ミリアリアを拘束する腕の力はますます強くなり、まるで絡みつくかのようにすら感じる。

「だからさぁ、あの日もオレはあんたの後を追っていたんだよ。だけどさ、どういう訳なのかその日に限って先約がいてさ、お兄ちゃんが三人あんたのことを追い掛け回しているじゃない?あれ見たらホントにムカついたね。冗談じゃないっての!ミリアリアちゃんはオレのものにするんだって決めたんだもの」

ディアッカの両腕は更に淫らにミリアリアを拘束する。そして腕に捕らえたミリアリアの身体が小刻みに震えているのを感じ、ディアッカは尚も口元を歪ませる。

「・・・ディアッカ」

「何?ミリアリアちゃん」

「じゃぁ・・・私のことをずっと付け回していたのはあんただったの?あの三人はストーカーなんかじゃなかったっていうの・・・?」

ミリアリアの声は今にも消え入りそうなか細い声だ。

「そうだよ。あの三人はたまたまミリアリアちゃんを追いかけてただけ。あんたが眠れなくなる程追い回して、でもって追い詰めたのはオレ」

抑揚のない淡々とした声が響く。
自分を悩ませていたストーカーの正体がディアッカだと知って愕然とするミリアリア。

「なんで・・・どうして・・・」

「言っただろう?運命ってやつを自分で作ってみようってさ?」

ディアッカはそこまで言い終えると、今度はミリアリアの身体を強引に自分の正面に向けた。

「あはは・・・まさかオレもこんなに早くミリアリアちゃんをGETできるなんて思わなかったよ。ホントあのお兄ちゃん達にはいくら感謝してもし足りないよね」

これは夢だ。
夢なのだとミリアリアは思いたかった。

「ディアッカ・・・あんた絶対に正気じゃないわ・・・どこか狂ってるとしか思えないわ・・・」

「どうして?オレはミリアリアちゃんが好きなんだもの。欲しいものは手に入れたいものでしょ?普通」

豪奢な美貌を持つ青年はサラリとそう言うと、ミリアリアの額に軽く口づけて両腕でミリアリアを包み込んだ。
この青年は狂っている。好意をもったミリアリアのストーカーとなっても自らの正体は今日までずっと押し殺し、不安を募らせる一方でミリアリアを保護するように振舞ってきた。自分でじわりじわりと追い詰めたミリアリアをまた自分が守る矛盾だらけの行為。それはミリアリアが自然とディアッカの手に落ちるように仕向けられた黒い罠。

「それに、ミリアリアちゃんの生活は別に何も変わらないよ。これまでどおりあの部屋でずっとオレと一緒に暮らすだけさ。まぁ本音を言えばミリアリアちゃんを監禁して部屋に閉じ込めてはおきたいんだけれどね、そこまではしない。だってそんなこをしたらミリアリアちゃんの心がオレに向けられることは絶対にないだろ?だからさ・・・どこへでも好きに行かせてはあげるよ」

ミリアリアの耳元にディアッカの甘い吐息が霞のようにふわりとかかる。

「でもねぇ?どこにでも行かせてあげるけれど・・・ミリアリアちゃんはオレから逃げることなんて出来ないよ」

「え・・・?」

絶対の自信を持つかのようなディアッカの声にミリアリアは思わず顔を上げた。

「ミリアリアちゃんの左手の小指、よく見てごらん」

ミリアリアはディアッカに言われるがままに自分の小指をそっと見つめた。

「・・・何・・・これ」

見ればミリアリアの小指にはなにやら糸が巻きついたような細い線状の傷跡があった。

「だからさっきも言っただろう?運命ってやつを自分で作ってみようってさ?でね?その傷跡がオレの作った運命ってこと」

ディアッカは静かにミリアリアを見下ろすと自らの小指をミリアリアに向けた。

「ほら、オレの指にもあるでしょう?ミリアリアちゃんと同じような傷が」

確かにディアッカの指にもミリアリアと同じ線状の細い傷がある。

「ねぇ・・・ミリアリアちゃん。赤い糸の伝説ってさ、生まれた時から結ばれるべく繋がっている運命のお話だけれどさ、オレは自分に結ばれている糸を強引に断ち切っちゃったの。でもって運命の赤い糸のお相手はオレ自身で選び、新しい糸を結びつけることに決めたんだ。つまりはねぇ・・・オレの小指とミリアリアちゃんの小指は見えない糸で結ばれてるのさ。っていうか、オレが自分で結び直して運命ってやつを作ってみたの」

ディアッカの紫の瞳が妖しの如く瞬き、そしてミリアリアを強く見据えた。
その呪縛にも似た行為にミリアリアには怯えた。
自分を抱いているディアッカは紛れも無く人間の筈だ。温かい体温、そして聞こえる胸の鼓動。
でも何かが違っている。

「い・・・いやぁっ!」

ミリアリアは大声で叫び恐怖感から滅茶苦茶に暴れた。そしてどうにかディアッカを押し退けると、丁度タイミングよく開いたエレベーターに急いで飛び込む。
とにかくこの場から今は逃げるのが先だ。マンションの出入り口を塞がれてしまった以上、今は自分の部屋に逃げるべきだ。
たとえディアッカがオーナー権限で合鍵を使ってもチェーンロックまでは外せない。幸いマンションの出入り口はディアッカがロックしたせいで誰も上に昇ってこない。エレベーターは途中で止まることなくミリアリアの部屋の階まで直行してくれるだろう。

「あーあ!逃げられちゃった」

強引にミリアリアから撥ね退けられた格好のディアッカはミリアリアの乗ったエレベーターが階上に着くのを確かめると、クスリと笑って自分もエレベーターに乗り込もうとした。が、その前に。

「おっと・・・」

ディアッカはマンションの扉のロックを何食わぬ顔で解除し、改めてゆっくりとオーナー専用のエレベーターに乗った。
行き着く先は判っている。階上に上がるならばミリアリアの部屋にしか逃げ場は無い。本当に何から何まで自分の計算どおりに事が運ぶのだからもう堪らなく面白い。
やがて最上階の自室にたどり着いたディアッカは、何を思ったのか階下のミリアリアの部屋に足を運ぶこともせず、そのまま自室の鍵を開けると真っ暗な部屋に灯りをともした。
誰も居ないガランとした部屋。クラシックなランプの灯りが周囲の家具をぼんやりと映す。しん・・・と静まり返った部屋。
僅か数時間前に女を抱いていたベッドに視線を投げる。しかしそこはもう情事の名残など微塵も無かった。
耳を澄ませば階下のミリアリアの部屋から物音がする。ディアッカが合鍵をもってしても部屋に侵入できぬよう大方玄関にバリケードでも作っているに違いない。

「まったく無駄な努力だねぇ」

バリケード作りに悪戦苦闘しているミリアリアの様子を想像してディアッカは更に笑みを誘われた。

せっかくバリケードまで作ってるみたいだけれど・・・ごめんねミリアリアちゃん♪
ディアッカは鼻唄雑じりでベッドの脇の壁を押した。
キイィ・・・と軽やかな音がするのは常日頃使われているからだろう。ディアッカが押した壁はのろのろと奥へ移動すると代わりに見えてきたのはなんと階段。

「さて・・・」

ディアッカはそっと壁の奥に身体を入れると慣れた足取りで静かにそこを下ってゆく。
暫くすると階段は大きな壁に阻まれて行き止まりになった。しかしディアッカは少しも慌てず、人為的に付けられた窪みに目をつけると、壁を横に静かにずらした。






**********






これだけやればディアッカもきっと入って来れないに決まってる。

ミリアリアは急いで部屋に飛び込んだ後、ロックをし、キーチェエーンを掛け、ソファーやワゴンなど、動かせるものは全て玄関に置き、やがて来るであろうディアッカの侵入に備えていた。
だが、真上のディアッカの部屋で確かにドアを開ける音が聞こえたのにそれきり何の物音もしない。
それに正面の玄関からも音は何も聞こえない。なにしろディアッカが侵入するとしたらここしかないのだ。窓からベランダ伝いで入ってくるかもしれなかったがこちらは三重にロックされている以上心配することはないだろう。
ミリアリアは息を殺して玄関口をじっと見つめた。いつでも逃げられる準備は出来たと思っていた。

このときまでは。

「ミリアリアちゃん・・・何をそんなに怯えているの?」

背後からいきなり甘い独特の掠れた声がしたのだ。ミリアリアはビクリと身体を震わせた。
そして振り向きざまに身体を引く。

ミリアリアのすぐ背後に立っていたのは勿論ディアッカ。

「・・・あんた・・・どこから入ってきたの・・・」

前方のドアは確かに閉まっている。それに窓が開いた形跡も無い。

「言ったでしょう?オレから逃げることなんてできないよって。人の話ちゃんと聞いてた?」

クククと笑う危険な仕草にミリアリアは反射的に後ずさりした。だが、目の前の男の方が格段に反射神経がよかったようだ。
逃げるミリアリアの腕を掴むとディアッカは手首を強く吸い上げた。

「い・・・痛いディアッカ!手を放して!」

必死でディアッカから逃れようとするミリアリアだが、ディアッカは笑みを浮かべたままことさら強くミリアリアの腕を握り締めた。
ギリギリという音が聞こえてくるのではないかと思うような強固な締め付けに段々と感覚が遠のいてゆく。

「ミリアリアちゃん。この部屋はね、元々ひとつの部屋なんだよ。玄関こそふたつあるんだけれど・・・実際はそうだねー、ロフトみたいな造りなのさ。だからほら?上の物音なんかきっとよく聞こえたんじゃない?」

その途端ミリアリアの顔は羞恥心で真っ赤になった。
毎日のように聞こえていた睦言が脳裏に浮かぶ。善がり狂う女の嬌声。耳を塞ぎたくなるような淫靡な物音。

「あ、でも安心して?オレはミリアリアちゃんをあんな風に乱暴には扱わないから」

「あんた・・・自分でおかしいと思わないの・・・そんな話を淡々とできるなんてまともな人間のすることじゃないわよっ!」

「そうだね。自分がまともじゃないことくらいちゃんと自覚はあるんだけどさ・・・別にどうでもいいことでしょう?だってミリアリアちゃんが欲しい事実は今更変えようもないんだから」

「ディ・・・」


ミリアリアの発した言葉はそれ以上は続かなかった。
言葉の全てを吸い取るかの如く、ディアッカの唇がミリアリアのそれを塞ぐ。
執拗な口づけから逃れようと身をよじるミリアリアを尚もしつこくディアッカは追う。
もとよりトール以外の男を知らないミリアリアにとって、ディアッカの行為はあまりにも刺激が強すぎた。
絡めとられた舌に覗き込むようなディアッカの瞳。必死で意識を保とうとしたミリアリアだが、ディアッカの求愛には勝てなかった。

どうして・・・。

塞がれた息と共にミリアリアの意識は・・・そこで途切れた。

くたりと力を無くしたミリアリアをディアッカは丁重に抱き上げ、彼女をベッドにそっと降ろした。
気を失った女を抱くような趣味はない。
ひとつだけミリアリアの額にキスを落としてディアッカは窓から外を眺めた。
いつもと変わらない風景がそこにある。ただ違うものがあるとすればミリアリアがここにいることだ。

「親父の言いなりになる人生は真平ゴメンさ・・・」

ミリアリアの言うとおり自分はどこか狂ってるのかもしれない。
だが、それはあくまでもミリアリアの主観なのだ。ディアッカにしてみれば「自分の運命をつくる」行為は間違いなく正しいことなのだから。








**********







───ハウ先生には気の毒なことをしたよ・・・。

二学期が始まって間もなく、アカデミーの校長が、職員室に用事で来ていたディアッカにポツリと言った。

「先生として採用されたというよりも雑務処理の為に使われたようなものですからね・・・」

校長の溜息と共に呟かれた言葉にディアッカは静かにそう答えた。

「エルスマン君。ハウ先生は君の事も大層心配しておったよ。このままじゃ出席日数が足りなくてどんなに成績が良くてもアカデミーを卒業できないだろうと・・・君を登校させるのに躍起になっていた」

「はい・・・よく解っています校長先生」

「だがこうして君もきちんと登校してくるようになった。ハウ先生が見たらさぞ喜んだことだろうて」

「私の父の診察では極度の緊張からくる過労とのことで・・・このまま教職に就かせるには体力的にも・・・精神的にも無理だろうと申しておりました。ですから私もここに父の名代としてハウ先生の診断書をお持ちした次第です。先生は療養の為にあるエルスマン所有の専門施設に移られました」

「うむ・・・。そのほうがハウ先生の為だねぇ。エルスマン君・・・ハウ先生に会うことがあったえ宜しく伝えておいてくれたまえ」

「はい。校長先生」

ディアッカは校長に向かって一礼をすると、静かにくるりと踵を返した。

「あ、ところで校長先生」

職員室の扉に手をかけたところでディアッカは立ち止まり校長にそっと声をかけた。

「ハウ先生は・・・先ごろ亡くされた校長先生のお嬢さんによく似ておいででしたね」

「ああ・・・。ハウ先生を見ていると亡くなった娘がいるみたいで随分慰められたものだったよ・・・」

そう言って目を瞑った校長を残しディアッカは職員室を後にした。





**********





ディアッカは自室の部屋のドアをカチャリと開け、中にいるはずの人の名を呼んだ。

「ミリアリア、ただいま・・・」

ダイニングキッチンを抜け、ディアッカが居間に入るとソファーで眠っていた人影がピクリとその身を上げた。

「おかえりなさいディアッカ」

「なんだよ・・・また部屋の電気点けてないの?もう8時過ぎてるんだぜ・・・」

「西日が気持ちよくてずっと寝てたのよ・・・あなたこそこんなに遅くまで何していたの?」

「一応進路が決まったので校長と面接してたんだよ」

「ふうん・・・それは良かったわね・・・」



傍から見れば普通の恋人同士の会話のように聞こえただろう。
だが、ミリアリアはディアッカに背を向けてひとり窓の外を見る。

「・・・どうして逃げないのミリアリア。この部屋も・・・下の扉にもカギはかかっていないことは解ってるだろ?」

ディアッカは音も無くミリアリアの背後に立っている。

「だって・・・どこに逃げ込んでもあんたはきっと私を探すもの。だったら逃げるだけ無駄・・・」

「逃げない理由ってそれだけなの?ミリアリア」

ディアッカはクスリと笑うとミリアリアの肩に腕を回した。


あの夜、意識を取り戻したミリアリアをディアッカは己の身体をもって何度も何度も抱き潰した。
いつもの彼なら同じ女は三度も抱けば飽きたものだがミリアリアは違っていた。
ディアッカに抱かれる都度ミリアリアはに違う表情を彼に見せた。
それは嫌悪感だったり、またどこか恍惚として力の抜けたようにも思えた。
身体を重ねるたびにディアッカはミリアリアに骨抜きにされた。しかし・・・それでもミリアリアを監禁し、拘束までしようとはしなかった。

───では・・・どうしてミリアリアはディアッカの元から逃げることをしないのだろう・・・。

ミリアリアが自らそう言うように、何処へ逃げてもディアッカから逃れられないと、だったら逃げるだけ無駄だと思っているのか?







赤い糸で結ばれた恋を運命と呼ぶのなら間違いなくこれは運命の恋だ。
彼女へと続く運命の赤い糸。
でも・・・それは手繰り寄せるとプツリと切れてしまいそうな儚さでオレを翻弄する。
だからどんなに遠く離れても手繰り寄せられる強さが欲しい。
目に映らないくらい細くとも切れないあのピアノ線のような・・・そんなしなやかな強さが欲しい。
オレの小指と彼女の小指を結ぶ糸はピアノ線。
強く手繰り寄せると指が傷つき糸はきっと赤く染まる。
さすれば赤いピアノ線。
運命の糸はしなやかな強さを持つ鮮やかな赤───。


しなやかなディアッカの腕に収められたまま、ミリアリアはうわ言のように静かに呟く。






───魔物に捕まったのよ・・・。






あの春の宵闇の中でミリアリアは美しい魔物に出逢った。
逢うたび逢うたび違った面を覘かせる彼にミリアリア自身も強く惹かれるものがあったのだろう。
そして初夏に眺めたあの藤の蔓のように彼女自身がディアッカという蔓に巻きつかれている自覚もきっとあった筈だ。

ディアッカはもう気付いている。

ミリアリアが自分の元から逃げることなどないだろうと。

ディアッカは自らの運命を自らの力で作り変えた。



───魔物に捕まったのよ・・・。



そういうミリアリア自身もディアッカの元から逃げないのは・・・
彼女もまたディアッカのものになるという運命を自ら選び取ったからなのかもしれない。



───魔物に捕まったのよ・・・。



かくして赤いピアノ線で結ばれた運命は成就するのだ。















   (2007.9.25) 空

 ※ ようやく書き上げました。含みを持たせた終わり方ですが、運命の恋って人それぞれだと言いたかったんですよ(笑)

    キリリクへ