「ふう・・・やっと着いたな・・・見かけよりも険しいところで驚いたよ・・・」

「そうか?私はここでサバイバルごっこをするのが大好きなんだが・・・」

「そんなことを言ってるのはカガリだけだよ・・・アスランのほうが正しいよ・・・」

「キラいつもそうだよな!アスランのかたばかり持ってさ・・・私の言うことなんてマトモにとりあってくれないんだから」

「そんなことないですわ・・・キラはいつもあなたのことを心配していましてよ・・・。それに素敵なところではありませんか・・・夜はきっと星が降るようにたくさん見られますわ・・・」

「あ・・・そうだ。ディアッカとミリアリアはまだ来ないか・・・?」

「ミリィ足挫いちゃったからきっと早くは歩けないね・・・。、まあディアッカが付き添っているから心配しなくても大丈夫だよ・・・」
「そうか・・・?あんなケダモノにミリアリア任せるなんて凄く危険だと私は思うぞ?」

「大丈夫ですわ・・・カガリさん・・・いくらディアッカでもこんな日の高いうちから不埒な行為はしないと思いますわ・・・」

「ディアッカはあれで変に古風なところがあるからけが人に手出しはしないよ。俺は付き合いも長いからそのあたりのことは解る」

「それに今は恋人同士でしょう?なにかあったってそれは本人達の考えだから僕らが口出しすることじゃないよ」

「まあ・・・それはそうだが・・・」

「とにかく無事にたどり着くのを待ちましょう。わたくし達が騒いでいても仕方のないことですわ・・・」




***********




カガリ所有の無人島にキャンプをするためやって来たのはキラ、アスラン、カガリにラクス・・・それとディアッカにミリアリアの計6人。
ここに来る途中でミリアリアが足を挫いたので、ディアッカが付き添ってこちらに向かっているはずなのだが、少し遅れているのが心配である。

そのディアッカとミリアリアは到達地点まであと少しのところにいた。
上手く歩けないミリアリアを途中からディアッカが背負っているのだが、宇宙にいた頃と違って重力のある地球なので、さすがのディアッカでもそう早くはたどり着けない。

「ごめんねディアッカ・・・重いでしょう・・・?」

「ああ・・・大丈夫。これでも現役の軍人さんだから身体は鍛えてあるって〜の!間もなく目的地のはずだから良く見ていてくれよ?」
「うん・・・あ!あそこ!ほら・・・みんないるわ!」

ミリアリアが指差した方角に4人が手を振って合図しているのが見えた。

「どうやら着いたみたいだな・・・」
ディアッカが安堵の息を漏らす。

「おまえ・・・ミリアリアおぶってきたのか?」

そんなカガリの声に「なんで?足挫いてるのに歩かせるのは酷だろ?」
と、平然とした顔でディアッカは答える。

「たかが2キロぐらいだぜ?これぐらい出来てあたりまえじゃないのか?」
なおも言葉を続けるディアッカに『たかが2キロ・・・』と周囲は呆れ顔だ。

「ミリィのことになるとディアッカは限界知らずだよね・・・普通の人だとおぶって2キロ歩くのは重労働だよ?」
上目遣いでキラはディアッカを見上げた。

「なんだかそれって・・・オレが普通じゃないような言い方じゃないの?オマエだってラクスに何かあったら水の上だって歩くって!」

「ま、おまえがミリアリアのことになると化け物じみた力を発揮することはよ〜く解ったよ!ほら!後は私らに任せて少し休めよ!キャンプのお楽しみはこれからなんだから」

「ああ・・・サンキュ!」
ディアッカは背中からミリアリアをそっとおろすと笑いながらカガリ達に任せた。

「火おこしとかはもうやったのか?」
ディアッカは正規の軍人だからサバイバルの訓練も受けているので野営は詳しい。
「ああ・・・それは俺がやるから大丈夫だ。おまえは休んでいろ」アスランが答えた。なるほど、彼も軍人上がりだ。

テキパキとキャンプの準備ができたら後はお約束のレクリエーションタイムになる。
カガリからすぐそばの湖でボート遊びができると聞いてラクスとミリアリアは飛び上がらんばかりに喜んだ。
プラントにいた頃のラクスはプライベートな時間もあまりなくてボートなど見たことすら無かったという。
ボートなら足を怪我しているミリアリアだって楽しめる。しかも湖はすぐそこだ。

ボートは2隻しかなかったが、カガリが「私はここへは何度も来ているから、ラクスとミリアリアを乗せてやってくれ」と言って辞退したため、ボートにはキラとラクス。ディアッカとミリアリアで乗り込むことになった。

「ディアッカ・・・おまえ大丈夫なのか?もう少し休んでいた方がよくないか?」
とアスランに言われたディアッカだが・・・

「どうしてさ?ミリアリアが乗るボートだぜ?オレが漕がなくてどうするのさ・・・?」
と、もう準備を始めている。

ミリアリアもボートには乗りたかったがディアッカに無理をさせたくはなかったから
「アスランさんの言うとおりよ。私は明日でいいから今日はゆっくり休んでよ・・・」と健気さを見せる。

そんなミリアリアを見ると逆に放っておけないのがディアッカで、ある意味単純な男である。
「んな心配しなくても平気だよ!ボート漕ぐくらいたいしたことじゃないって〜の!」
軽々とミリアリアを抱き上げたかと思うと、そっとボートにおろして自分もそれに乗り込んだ。

ボートはどんどん岸から遠ざかっていく。予想はしていたのだが、ディアッカはボートの扱いも上手だった。
ミリアリアが「ディアッカ・・・疲れてるのにごめんね・・・」と言うと。

「どうせだったら笑顔で『ありがとう!ディアッカ』って言ってくれた方がオレは嬉しいんだけどね・・・」
クククと口の端を上げ、ニヤけた顔でディアッカが答える。

「あんたのその笑い方嫌い!何か企んでいるみたいでやだ!」
ミリアリアの眼が険しくなる。

「そう?何も企んじゃいないけれど?でも・・・これぐらいはいいでしょ?」
いきなりディアッカの腕が伸びた。ミリアリアの腕を掴んで自分の方へと引き寄せると強引にその唇を塞ぐ。
ミリアリアは必死で抵抗するもののディアッカの腕から逃れられない。もがいているうちに挫いた足に力が入ってしまった。

(痛い!・・・)

その様子にディアッカが腕の力を緩めると、ミリアリアはチャンスとばかりに腰を浮かしかける。
「バカ!急に立ち上がるんじゃない!」
そんなディアッカの声はミリアリアには届かなかった。
その時には既に湖へとミリアリアは落ちてしまっていた後だったから・・・。



**********



「ミリアリア!」
ディアッカは着ているものと靴を脱ぎ、上半身裸になって湖に飛び込んだ。

ミリアリアの身体はどんどん深く沈んでゆく・・・着ている服が水を吸って浮かび上がれないのだ。
消えそうになる意識は足の痛みのせいで残っていたが、もう力も入らない・・・。
(このまま・・・もう死んじゃうのかしら・・・)
妙に落ち着いている自分が可笑しかった・・・。
ディアッカの顔が浮かぶ・・・。
こんなことになるなら・・・キスぐらい許せばよかった・・・。
あんなに自分と再会したことを喜んでくれたのに何も応えてやれなかった・・・。
話したいことだってたくさんあったのにまだ殆ど話していない・・・。




そして今度こそ・・・「すき・・・」と告げようと思っていたのに・・・。




薄れていく意識の中でミリアリアは金色の髪を見たような気がした・・・。
力強い腕と宝玉のような紫の瞳が自分を包んでくれているような気がした・・・。




(ディアッカ・・・)









**********








パチパチと薪の燃える音がする。

ミリアリアはゆっくりと眼を開ける・・・。
飛び込んできたのは金色のクセ毛と褐色の肌。
規則正しい寝息と心音は身体が密着しているから聞こえるのだとようやく気がつく。
長い睫は伏せられていて宝玉の紫も今は見えない。
見慣れたはずの・・・それでも見るたびに溜息のでるその秀麗な顔立ち・・・。


「ディアッカ・・・」


その声に名前を呼ばれた男は弾かれるように眼を開けた。

「気がついた・・・?」

「・・・私ボートから落ちて・・・」

「あ〜もう脅かすなよな・・・生きた心地がしなかったぜ?」

「ディアッカが助けてくれたの・・・?」

「当然だね!おまえを護る役目はオレの専売特許よ?KNIGHTよKNIGHT!他の誰にも譲れません!」

ミリアリアはゆっくり辺りを見回すと、このバンガローとおぼしき建物には自分達2人しかいないことに気付く。
「キラ達は・・・?」

「隣のバンガローにいるよ。今日はオレ達2人にここを使わせてくれている」

「そうなんだ・・・」

「それより!もうあんな無茶はするんじゃね〜ぞ!ボートから立ち上がるなんてとんでもね〜って」

「だって・・・あんたがいきなり・・・あんなこと・・・するから・・・」
しどろもどろに話すミリアリアの声にディアッカはいかにもおもしろそうに切り返す。

「あんなことって・・・どんなこと?」

「だからそれは・・・」

「・・・・・・こんなこと?」

ハッとしたときにはディアッカの唇がミリアリアの唇に覆いかぶさっていてそのまま舌まで絡め取られていた・・・。
強く抱きすくめられてミリアリアは初めて自分が一糸纏わぬ裸であることが解った。
ディアッカが唇から離れると、ミリアリアはすかさず抗議の声を上げる。

「なんで・・・私裸なのよっ!」

「こういうシチュエーションのお約束じゃない?裸で抱き合うなんてドラマチックでオレ好みよ?」

「あんたの好みなんて知らないわよっ!服を着るから放してよ!」

「やだね!このまま速攻!Bクイックでいかせてもらおうかな〜!」

「何わけのワカンナイコト言ってんのよ!」

「決まり!このまま朝まで寝てよーね?」

「勝手に決めないで!」

「それじゃ〜いっただっきま〜す!」

「あ〜〜〜〜〜っ!ディアッカの・・・バカ・・・・・・・・」













───ディアッカとミリアリアがこのあとどうなったかなんて野暮なことは聞かないように・・・OK?












 (2005.7.29) 空

※ お待たせ致しました!リクエストの『ミリィ溺れる!ディアッカ!君の出番だぜ!』をお届けします。
   溺れるネタはこれもあちこちのサイト様で使用されておりますのでこんな展開にさせて頂きました。
   かっこいいディアッカというよりは『限りなく黒く、ミリアリアおバカのディアッカ』といった感じ(笑)
   リクエストありがとうございました・・・!


  キリバンリクエストへ


夏!といえば思い浮かべるのがキャンプとか海水浴とかの楽しいイベント。
ここ・・・常夏の島国オーブでも休日ともなればそれなりに賑わうのがキャンプ場。
けれどもこれからご紹介するメンバーは、スポンサーがこの国の代表首長姫だったりするから
私有地の無人島で、ある意味贅沢なキャンプを楽しんでいるのが羨ましい・・・。
小さな孤島で女3人、男3人の組み合わせはなんだかちょっと『期待』したいと思わない?
すかさず『YES!』と答えたあなた!そんなあなたはマトモな判断を下せる常識人に違いないよ。








KNIGHT!