梅雨どきの日本といえば思い浮かぶのは当然『雷』
どれほど時代が変わっても大自然の驚異とやらはそうそう克服できないわけで。
まあ・・・つまり今回のお話は『初めてナマの雷を体験しちゃいました!』というBOYSと。
『あんたこんなのでビビッてどうするのよ!』と、元気なGIRLの日本ツアー珍道中。
付けも付けたりそのタイトルも『INAZUMABOYS』・・・え?題名がダサイ?まあそう言わずにご覧あれ・・・。





INAZUMABOYS






戦後の軍事施設確保の為、地球は東の日本列島へプラントよりお越しの2名様。
かたやサラサラの銀髪に女もビビる繊細な美貌。黙っていれば文句無く王子・・・いやお姫さま?
そんな彼の名前はイザーク・ジュール。ZAFTの中でも生え抜きの男。
こなた豪奢な金髪に男らしく精悍な美貌。浅黒い肌に紫の瞳は美丈夫の彼にこそ相応しい。
ディアッカ・エルスマン。ZAFTの中でも異端の存在。
そんなふたりの通訳にと要請された少女がひとり。彼女の名前はミリアリア・・・。






「でも・・・イザークさんも大変ですね。こいつちゃんと仕事してるんですか・・・?」
「なんだよおまえ!それってずいぶんじゃんよ?オレはちゃ〜んと仕事してるって。なあ?隊長殿!」
「ディアッカなりにテキトーにはやっているがな・・・テキトーにな・・・」
「・・・テキトーですか・・・」
「ああ・・・すごくテキトーにな・・・」
「それよりサンキュ!ミリアリア。おまえが日本語話せるって聞いたからホント助かったわ・・・」
「まあオーブで使う言葉だしね・・・。でも・・・確かディアッカもペラペラだったんじゃないの?日本舞踊やってるくらいなんだし」
「ディアッカに通訳なんかさせて見ろ!まとまる話もこじれるわっ!」

トーキョー・シティ郊外のカフェテラスで仕事の後の一服とばかりに3人でお茶の時間を楽しんでいたのだが・・・。







ドオオオオオンンン・・・(ドップラー効果)








───と、出し抜けに響く大音響!

「伏せろっ!爆破テロかも知れんぞっ」
甲高いイザークの声がこだまするも、ミリアリアはクスクスと笑っている。

「大丈夫ですよイザークさん!これは雷ですよ!」

「雷・・・これが?」
きょとんとするイザークを後目にミリアリアは更に言葉を続ける。
「中に入った方がいいですね。ひと雨来そうですから」
そう言っている矢先に空はみるみる黒くなり、やがて大粒の雨がポツポツ振り出したかと思いきや・・・すぐに大雨となった。

「あ・・・もしかしてイザークさん雷なんて初めてなんですか・・・?」
ミリアリアは面白そうにイザークに尋ねる。
彼らの故郷のプラントは人工のコロニーだから雷なんて馴染みがないのかもしれない。
「いや・・・遭遇した事はあるがこんな大きいのは初めてだな。この音がした時にはもうどこかに落ちた後だと言うが・・・?」
「ええ。これくらい大きいとかなり近くに落ちたんでしょうね。梅雨時の日本の名物だそうですよ」
「自然の驚異とは本当に凄いものだな・・・。こんなものに遭遇すると人間なんてちっぽけなものに感じるが・・・」
「本当ですね・・・。でもここまで大きいのって滅多に無いと思いますから貴重な体験になりましたね」

「・・・・・・?」

「どうしたんですか?イザークさん」

周囲をキョロキョロと見回すイザークにミリアリアは不審な目を向けた。

「ディアッカの奴はどこに行ったんだ・・・?」

「・・・そういえば・・・。さっきまで私の隣にいたはずなのに・・・」

さして広くない店内を見渡してもディアッカはどこにも見当たらない。まさかと思うが・・・。

イザークとミリアリアは慌ててもう一度外へと飛び出すと・・・。ディアッカがいた・・・。



「貴様・・・そんな所で何やってるんだ・・・?」
訝しげるイザークに向かってディアッカが大声で何か告げるのだが、生憎の雷でよく聞き取れない・・・。


ドーンンンン・・・・「・・・・たんだよ・・・!」


「ちょっと何言ってるのよディアッカっ」 ズウウウンンンンン・・・・・!


「だからさあ・・・・ダアアアアアアンンンン・・・・なんだっつ〜の!」



「ハッキリ言いなさいよっ!」バアアアアンン・・・・・





「だから腰が抜けたんだっつ〜のっ!!!」





「嘘でしょ・・・?」
ビックリ仰天のミリアリアと・・・。

「大法螺吹くんじゃない・・・このバカ野郎・・・!」
と、てんで取り合わないイザークの視線がアイタタなディアッカなのだが・・・。

「嘘なんかつかないって!マジで立てないんだよっ頼むから起こしてくれよ・・・!」
必死で訴えるディアッカの形相がおかしくてミリアリアは思わず手を差し延べた。

「サンキュ・・・!」

その手を取って立ち上がろうとしたディアッカだったが・・・そのとき・・・。




バリバリバリバリ・・・と、また近くに落雷したようだ。



「おわあっ!」
と、ひと声叫んでディアッカはミリアリアに抱きついた。
前屈みになっていたミリアリアのバランスが崩れそのままディアッカに抱きこまれた様な格好になった。

「何するのよディアッカ!あんたまたあたしをからかっているのっ!」

「そんなんじゃね〜よっ!マジでビビってんだよオレ!こんな雷なんて初めてなんだぜ!解るだろっ!」

「貴様・・・こんな真っ昼間から女に抱きつくなんていい度胸してるなっ!それでもZAFTの赤服かっ!」

「うるっせ〜な!オレはもう緑の一般兵だよ・・・って関係ないだろう!」



どごおおおおんんん・・・


                       ちゅどおおおおんん・・・・!




「ああ〜もう勘弁してくれよ〜っ!雷なんて大っキライだよっ!」



                                      ばごおおおおおんんん・・・・


「ちょっとディアッカってばっ!いいかげん放してよっ!」




                  どおおおおんんん・・・・



「それどころじゃねえよっ!」


                       「やだっ!どこ触ってるのよおっ!」





「ディアッカ!冗談も大概にしろよ・・・後で営倉にたたき込んでやるからなあっ」








                        『知らね〜っつ〜の!』








       この後30分間・・・こんな会話が延々と続いた・・・。


       ディアッカの頬はミリアリアの手形がくっきりと付いたものの、彼はミリアリアを放そうとはしなかった。


       普段から軽口と冗談の絶えない男だから『腰が抜けた』だなんてきっと嘘に違いない。





       違いないとは思うのだが・・・。










      果たして真相はというと・・・これがまったく闇の中・・・。









      ディアッカが雷如きで『腰を抜かす』なんて・・・あなたはどう?信じますか・・・・・・?














 (2005.10.6) 空

 ※・・・う〜ん!本当にどっちでしょうか・・・?

     お待たせ致しました。リクエストの『地震OR雷』をお届けします・・・。
     よその素敵サイトさまではディアッカを雷に例えたカッコイイお話を見かけます。
     『ディアッカ』の弱み・・・とのご希望でしたのでこのような話にしてみました。
     ちなみにこの結末は私にも解りません。皆様のご想像にお任せします・・・orz

     リクエストありがとうございました・・・!


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