3:雨やどり




雨は懐かしい記憶を呼び覚ま・。
オノゴロの軍港の片隅でおまえと過ごした雨の一夜。
会うたびに怯えさせて。
話しかけるたびに泣かせ。
腕を掴むたびに拒絶され。
そして・・・オレは傷つけるだけだとと解っていても、おまえを抱いた。
憶えているのはただ白く細い腕と折れそうに華奢な腰。
肩に食い込む爪の痛み・・・そして大きな蒼い海の瞳。
解っていた。
どんなに強く抱いても。
その耳元で恋心を囁いても。
おまえはオレのものにはならない。
流されるままに・・・ただ抱かれただけなのだと。

あれからもう2年。
平和になったはずの世界は再び軋み、崩れ落ち・・・。
そしておまえは再び世界を駆け巡る。
元気でいるか?
寂しい思いはしていないか?
そしてオレの事を忘れないでいてくれるだろうか。


雨は懐かしい記憶を呼び覚ます。



あの日からオレの時間はきっと止まったまま動こうとしない・・・。




 (2005.12.27) 空
 ※久々のお題SSです。ディアッカさんのモノローグですね・・・。
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